長年、テレビで「クローズアップ現代」のキャスターをされていた国谷裕子さんが
東京藝術大学の12人の教授たちにインタビューをされた本、『クローズアップ藝大』(河出新書)を読みました。
2021年5月、ちょうどコロナパンデミックで世界中が大騒ぎしていた時期に刊行されています。
現在、国谷さんは、東京藝術大学の理事をされているんですね。
明治時代初期に「美術」という概念が生まれ、美術の概念は時代とともに変化して、
今では東京藝大に映画専攻やアートプロデュース専攻、先端芸術表現科などもできて、
美術が絵画や彫刻だけでなく、幅広い表現活動になってきています。
この本には、もちろん芸術大学なので美術だけでなく音楽分野の先生たちも登場されて、
バランスの取れたインタビュー取材になっています。
私はアーティストの日比野克彦さん以外は、あまり名前を存じ上げなかったのですが、
どの学科や専攻も、一流の教授陣が教鞭をとっておられて、うらやましく感じました。
世界的に誰もが知る有名人で、世界のスーパースターということではなくても、
素晴らしい芸術家は、この大学だけでもたくさんおられるのだ、ということを感じましたね。
私は今まで、世界のアートマーケットを意識して活動を続けてきた節がありますが、
必ずしもマーケットなんか意識しなくてもいいんだ、
芸術家として、もっと他の道や表現方法もあるのだということを、この本から教わりました。
肩の力が抜けたのと同時に、今後の新しい道も見え始めて、
未来に向かって楽しく進んで行けそうです。この本に感謝!です。